「音楽博物館(Musée de la musique)」のアーカイブ

音楽博物館(Musée de la musique)のアーカイブを活用しよう

19世紀のフランスを代表するピアノメーカー「プレイエル(Pleyel)」。ショパンが愛用したことでも知られ、クラシック音楽の歴史を語るうえで欠かせない存在です。しかし、プレイエルの実像をより深く知ろうとすると、単にピアノを眺めるだけでは不十分。製造記録や工房の資料、職人の名前が刻まれた部品など、一次資料にあたることがとても大切です。

その第一歩としておすすめなのが、パリ19区のラ・ヴィレット公園にある 音楽博物館(Musée de la musique) が公開しているアーカイブです。

音楽博物館とは?

Musée de la musique は、フィルハーモニー・ド・パリの一部として運営される楽器博物館。16世紀から現代までの約8,000点の楽器を所蔵し、そのうち1,000点ほどが常設展示されています。
とりわけ注目すべきは、エラール、プレイエル、ガヴォーといったフランスを代表するピアノメーカーの工房アーカイブです。2009年に寄贈されたこの資料群には、製造台帳や、販売記録、職人名の書き込みなどが残されており、研究者や愛好家にとって宝の山となっています。

アーカイブでわかること

アーカイブを調べることで、次のような情報を確認できます。

  • 製造番号や製造日:特定のピアノがいつ作られたのか。
  • 関わった職人の署名:例として「Beck」「Pfister」「Baert」など。
  • 販売先や価格:どのサロンやどの個人に販売されたか。
  • 技術的実験の痕跡:響板の素材やアクション機構の試みなど。

つまり、プレイエルのピアノがどのように設計・製造され、誰の手に渡り、どんな音楽文化を支えたのかを、一次資料からたどることができるのです。

研究や愛好家にとっての意義

プレイエル研究は単なる楽器史にとどまりません。ショパンがどのような楽器に触れていたのか、当時の音の美学はどう形成されたのか、といった問いへの手がかりになります。また、修復家にとっては構造や素材の再現に役立ちますし、愛好家にとっても楽器に刻まれた「人の痕跡」を見出す楽しみがあります。

利用の方法

タイトルとURLをコピーしました