プレイエル社の年表
この年表は、1807年の創業から現代までのプレイエル社の主要な出来事を時代ごとにまとめたものです。ショパンをはじめとする音楽家との関係、技術革新、デザインの変遷、国際的評価の獲得など、プレイエルの歩みを一望できます。
18世紀 – 創業者の誕生と音楽活動
年 | 出来事 | 補足 |
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1757 | イグナッツ・プレイエル、オーストリアに生まれる | 後のプレイエル社創業者、作曲家・出版者として活動 |
19世紀 – 創業と黄金期
1807年、イグナッツ・プレイエルはパリ郊外に工房を設立し、当初は英国やウィーンの影響を受けたスクエアピアノや初期グランドピアノを製造していました。
1815年にはカミーユが共同経営者となり、同社は演奏会用グランドピアノの製造に注力。これにより、当時隆盛を迎えていたパリのサロン文化と強く結びつくようになります。
1830年代、プレイエルは音色の透明感とタッチの繊細さで特に名声を高め、ショパンやリストなどが愛用するようになりました。
1831年にパリへ到着したショパンは、カミーユ・プレイエルと親交を深め、生涯を通じて演奏会や作曲に同社のピアノを使用しました。
1839年にはサロン付きの大規模ショールーム「Salle Pleyel」が開設され、パリの文化発信地としても機能しました。
19世紀後半、プレイエルは鉄骨フレームや改良アクションなど、新しい技術を積極的に導入しました。これにより耐久性と音量が向上し、演奏会場の大型化にも対応可能となります。
国際博覧会での受賞や、世界各地の王侯貴族への納入も相次ぎ、プレイエルは国際的な高級ピアノブランドとしての地位を確立しました。
年 | 出来事 | |
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1807年 | プレイエル社(Pleyel et Cie)創業 | パリ郊外に工房を設立 |
1815年 | カミーユ・プレイエルが経営に参加 | 父子経営が始まる |
1820年代 | サロン向けグランドピアノ製造を拡大 | 上流階級や音楽家に普及 |
1831年 | ショパン、パリでカミーユと出会う | 初めてプレイエルを使用 |
1839年 | 「サル・プレイエル(Salle Pleyel)」開設 | コンサートホール兼ショールーム |
1849年 | ショパン死去 | プレイエル製ピアノが葬儀に使用された |
1850年代 | 鉄骨フレーム導入 | 耐久性と音量向上 |
1865年 | カミーユ・プレイエル死去 | 新経営陣による運営へ |
1880年代 | 国際博覧会で多数受賞 | 世界市場での評価確立 |
1890年代 | アール・ヌーヴォー様式モデル登場 | 美術的価値を追求 |
20世紀 – 近代化と衰退
20世紀初頭、プレイエルはアール・デコ様式を取り入れたデザインや、特注モデルの製造にも注力しました。
また、クラシック音楽だけでなく、当時流行し始めたジャズやダンス音楽にも対応する多彩な音色設計を行い、幅広い演奏家層を獲得しました。
第二次世界大戦や戦後の経済変動により、ヨーロッパのピアノ市場は縮小し、プレイエルも一時は経営難に陥ります。
しかし、伝統的なフランス製ピアノとしてのブランド価値は失われず、21世紀に入っても限られた数ながら製造が続けられていました。
年 | 出来事 | 補足 |
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1920年代 | アール・デコデザイン採用 | 都市文化と調和する新デザイン |
1930年代 | 不況と戦争で需要減 | 生産縮小 |
1946年 | 戦後の生産再開 | 伝統的モデル継続 |
1980年代 | 生産規模縮小 | 限定製造、高級化路線へ |
21世紀 – 歴史の継承
プレイエルは歴史的楽器の修復や再現モデルの製造にも関わり、その音色は依然として世界中のファンに愛されていましたが、2013年には生産は終了し、現在では引き継いだ会社が修復を中心に行い、グランドピアノのみ特注で製造しています。
年 | 出来事 | 補足 |
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2000年代 | 歴史的モデルの復刻や修復プロジェクト実施 | 歴史的楽器保存に注力 |
2013年 | 生産終了 |