ショパンの最期のピアノ
1848年、プレイエル社によって製作された一台のピアノ。製造番号14180を刻むこの楽器は、ショパン晩年の創作活動に寄り添い、彼の息吹を最も鮮烈に伝える存在として知られています。
ショパンの死後、競売にかけられたこのピアノは、彼の弟子であり熱心な支援者であったスコットランド人女性、ジェーン・スターリングによって買い取られ、ショパンの家族に贈られました。その後、1967年にフレデリック・ショパン博物館に引き渡され、長きにわたって展示されてきました。
2018年、国立ショパン研究所による調査と、著名なピアノ修復家ポール・マクナルティ氏の手による精緻な修復作業が実施されました。作業は博物館内にて行われ、多くの来訪者がその過程を見学する貴重な機会となりました。
修復が完了した2019年、ポーランドの古楽器奏者アレクサンドラ・シフィグット氏による演奏会が開催されました。ショパンの魂が宿るピアノが奏でる音色は、聴衆を深く感動させ、歴史的な瞬間として記憶に刻まれました。
現在、このピアノはワルシャワのフレデリック・ショパン博物館にて展示されており、特別演奏会などでその音色が披露されています。時空を超えて響くショパンの音楽は、訪れる人々に深い感銘を与え続けています。